商船三井によるダイビルの完全子会社化(21/11/30公表)

海運大手の商船三井が上場子会社で不動産事業を営むダイビルを完全子会社化すると発表。22年1月19日にTOBは無事成立。今後スクイズアウト手続きを経てダイビルは上場廃止になる見込みです。

案件概要

商船三井が上場子会社のダイビル(8806)を完全子会社化するためにダイビル株式に対してTOBを実施すると公表。TOB価格は1株当たり2200円で、公表日前営業日終値に対して47.75%、過去1か月、3か月、6か月の終値平均に対してそれぞれ44.55%、43.51%、50.27%のプレミアム価格。TOB期間は21年12月1日から22年1月18日までの30営業日。公表日時点での応募合意はなし。買付株数の下限は14.76%で商船三井の持分51.9%と合わせて3分の2になる水準で設定。大株主上位10位を見ると3位にSMBC(5.0%)、5位に関西電力(2.6%)あるので、応募合意はないもののさすがに応募が見込まれることを踏まえると残り7.16%。

案件の特徴①:ダイビルの不動産含み益

ダイビルが不動産業を営んでいる関係でやはり注目を浴びたのが賃貸等不動産の含み益。21年3月末の賃貸等不動産の時価が約5859億円に対して簿価が約3371億円となっており、含み益が2488億円に上り、1株当たり修正純資産としては約3025円ほどで今回のTOB価格で修正PBRを計算すると0.73程度。

案件の特徴②:特別委員会でのFA/LAのリテイン

ダイビルの公表日前営業日ベースの時価総額が1707億円と巨額であることに加えて、上記の不動産の含み益の問題もあることも踏まえて、特別委員会でもFAとリーガルアドバイザーを起用したのではないかと推察されます。FAとしてはプルータス、リーガルとしては中村・角田・松本法律事務所を起用しています。なお、買付者FAはGS、LAはMHM、TOB代理人はSMBC日興、レンダーはSMBC。対象者FAは野村、LAはAMT。関係者多いですね。

案件の特徴③:ダブルTOB

過去にも事例はありますが、今回商船三井はダイビルに加えて宇徳も同日に完全子会社化することを公表しており、上場子会社2社を一気に完全子会社化する対応を取りました。過去には日立製作所が5社に同時TOBをしたり、SCSKも2社同時TOB、東芝が3社同時TOBをやったりしています。親子上場に対する解消の動きがますます加速しそうです。

TOB結果

22年1月19日に無事TOB期間を延長することなく、また大量保有を出すアクティビストも出現せずに成立。応募は35,200,639株で買付後の株券等所有割合は82.60%で90%には届かない結果でした。

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