アダストリアによるゼットンの連結子会社化

案件概要

アパレル企業のアダストリアが飲食業を営むゼットンを第三者割当増資とTOBで連結子会社化することを2021年12月14日に公表。

TOBは2022年1月4日~2月16日まで。TOB価格は1株当たり950円。TOBプレミアムは公表日である12月14日を基準日として12月13日の終値に対して7.3%、過去1か月、3か月、6か月の終値平均に対して10.9%、14.6%、19.1%となっていて、プレミアムとしては高くはない水準です。TOBの応募合意は口頭合意で創業者で前代表取締役の稲本氏 、現代表取締役の鈴木氏の2名で合計6.64%。

第三者割当増資の条件は、増資価格が797円で、12月14日の前日終値に対して10%のディスカウント価格。増資株数は1,621,400株(発行済株式数に対して25.14%)、払込金額総額は約13億円。増資払込日は12月30日

買付者側の専門家は法務が佐藤総合法律事務所と西村あさひ法律事務所、会計税務がトーマツ、算定人がプルータス、TOB代理人が三田証券で復代理人としてマネックス証券。FAの有無は開示情報からは不明。対象者側の専門家は法務が祝田法律事務所。対象者としては、本公開買付が上場廃止を企図したものではなく、TOB後も上場が維持される方針の為、価格の妥当性については中立の立場をとり判断を留保。そのため、第三者算定機関から算定書は取得していないとのこと。

案件の特徴

通常、TOBと第三者割当増資を組み合わせて連結子会社化する場合は、公開買付者からすると、第三者割当増資の引き受けはしたものの、TOBで予定していた株式を取得できない可能性があるためTOBの成立を前提に第三者割当増資の払い込みを行うケースが一般的です。しかし、本件では第三者割当増資をまず実施して、その払込が完了してからTOBを開始するというスケジュールが組まれていて、ややイレギュラーです。

ゼットンの状況

ゼットンはアロハテーブルが有名ですが、他にも個性的な飲食店を様々展開しています。ゼットンの大株主はゼットン同様外食チェーンのDDホールディングスで、約35%程度保有していますが、本件においてDDHDはTOBに応募合意はしていません。開示資料をみると、2021年9月末を返済期日とするDDHDからの借り入れが約6億円あり、返済期日の延長を要請したものの、応諾が得られず。結果、第三者であるアダストリアに増資引き受け要請をした経緯のようです。開示資料にもそのやり取りが生生しく記載されています。これによって、第三者割当増資がTOBに先行して行われたことが推測されます。

DDHDの状況

コロナ禍の影響を受けて、業績は不調で債務超過の状態にあり、継続企業の前提に関する重大な事象が生じている状況です。臨時株主総会の基準日設定公告が行われており、議題は現状不明です。第三者に優先株でも引き受けてもらうんでしょうか。

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