片倉工業のMBO不成立

案件概要

片倉工業の会長と社長が50%ずつ出資する買収SPCのかたくらが片倉工業に対してTOBを実施するMBO案件。SPCへはみずほ銀行がLBOローンを提供し、公開買付代理人がみずほ証券という建付けからしてみずほ主導のMBO案件と推察されます。筆頭株主にオアシスの名前があり、本件オアシスとの間で応募合意を結んで実行していることから、面倒な株主であるオアシスを追い出したかった案件であると想定されます。

TOB期間中の事件

TOB公表後に鹿児島東インド会社なる会社がオアシスからオアシスの保有する片倉工業株式をTOB価格よりも高値である1株当たり2350円で取得。その後もかたくらはTOB価格を引き上げなかったことから、株価はTOB価格を上回って推移し、TOBは不成立。

なぜ不成立になったのか?

片倉工業の賃貸等不動産をみると含み益が非常に大きく、当該不動産の含み益を考慮した修正純資産をベースに1株当たり株式価値を算出するとTOB価格である2150円の2倍強の水準になります。従って、ここに目を付けた鹿児島東インド会社が2,350円でも安い価格だという想定の下、オアシスから株式を取得したことが想定されます。過去に不動産関連の会社では所有不動産の含み益を考慮した修正純資産を引き合いに価格の議論がなされていることを踏まえると、さすがに2倍強の価格差は看過できないということだったのかもしれません。

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