ワールドによるナルミヤインターナショナルの連結子会社化(2022/1/13公表)

アパレル大手のワールドが子供服大手のナルミヤインターナショナルの連結子会社化を目的にTOBを行う事を公表。

案件概要

現在、ワールドはナルミヤの株式を25%保有し、持分法適用関連会社にしていて、今回のTOBで出資比率を引き上げて連結子会社化をする。ナルミヤの大株主である日本産業パートナーズと応募契約を締結し、日本産業パートナーズから最大26.58%を取得する。TOB価格は1株当たり1,230円で、公表日前営業日終値に対して27.86%、過去1か月、3か月、6か月の終値平均に対してそれぞれ26.80%、14.74%、16.37%のプレミアム価格で、買付金額は最大33億円。ナルミヤはTOBに対して賛同表明はするものの、応募判断は株主に委ねることを決議。買付株数の下限は20%、上限は26.58%。TOB後も上場は維持する方針。

案件の特徴①:応募合意内容

日本産業パートナーズは保有する26.58%全てをTOBに応募するのではなく、20%についてはTOB開始日から15営業日以内に応募し、残りの6.58%についてはTOB期間中に市場売却するものの、売却できずに残った株式についてはTOBの最終日に応募する内容の応募契約を締結。日本産業パートナーズとしては売却価格の最大化を狙ったもので、TOB期間中に株価がTOB価格を上回った場合にアップサイドがとれるようにしつつ、20%については応募することでワールドの連結子会社化のニーズに対応したということかと思われます。

案件の特徴②:連結子会社化の担保

日本産業パートナーズが6.58%全てを市場で売却でき、20%の応募しかTOBで買い付けられなかった場合は、ワールドの出来上がりの持分は45%にとどまり、形式基準で連結子会社化できない可能性が残る。ワールドの会計基準はIFRSを採用しており、実質基準での連結子会社化の手当てが必要で、そのために今回ワールドはナルミヤとの間で資本業務提携を締結することで議決権が過半に満たない場合でも連結子会社化できるように手当。IFRSにおける連結子会社の範囲は、他の企業に支配されている企業を子会社としており、支配というのは①パワー、②リターン、③関連性の3つの要素が揃っていることが求められる。

TOB結果:成立

2022年2月15日にTOBの上限を上回る応募があり、TOBが成立したと公表。なお、TOB期間中はTOB価格の1,230円を一貫して下回って推移したため、日本産業パートナーズは市場売却はせずに全株TOBに応募したと想定されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました