名古屋鉄道による名鉄運輸の非公開化(2022/2/7公表)

案件概要

名古屋鉄道が連結子会社の名鉄運輸をTOB+SQOで非公開化すると発表。名古屋鉄道は名鉄運輸の議決権を51.1%所有し連結子会社にしており、今回TOBを通じて非公開化する。第二位株主の日本通運は現在20.1%の議決権を保有するが、TOBには応募せずに本件を通じて名古屋鉄道と2人株主になる。買付金額は最大227億円。

TOBの主な条件

TOB価格:1株当たり3,500円
プレミアム:公表日前営業日、過去1か月、3か月、6か月終値平均に対してそれぞれ52.2%、51.1%、48.4%、46.0%
下限:なし(すでに名古屋鉄道と日本通運が保有する分合算で70%超)
上限:なし
TOB期間:2022年2月8日~2022年3月24日(30営業日)
応募合意/不合意:日本通運は不応募合意

算定内容

買付者側算定(大和証券)

市場株価法:2,300円~2,397円
DCF法:2,584円~4,951円

対象者側算定(三菱UFJ銀行)

市場株価法:2,300円~2,397円
DCF法:2,274円~4,983円
割引率:4.5%~5.5%、永久成長率:-0.25%~0.25%

バリュエーション水準

TOB価格ベースの各種マルチプルは以下の通り

修正株式価値:22,688M、EV:59,527M
EV/EBITDA(今期):6.5x、PER(今期):9.1x、PBR(直近四半期):0.55x

公正性担保措置の採用状況

  1. 買付者での算定書の取得
  2. 対象者での算定書の取得
  3. 対象者での法律事務所からの助言
  4. 特別委員会の設置
  5. 特別委員会における財務アドバイザーの起用
  6. 利害関係のない役員の全員一致での決議
  7. TOB期間を30営業日以上確保

案件関係者

買付者FA:大和証券
買付者リーガルアドバイザイー:麻布霞山法律事務所
TOB代理人:大和証券
対象者FA:三菱UFJ銀行
対象者リーガルアドバイザー:AMT
特別委員会が起用したFA:高野総合コンサルティング

所見

PBRでいうと確かにTOB価格ベースで0.55倍ではありますが、名鉄と日通の合算で3分の2を確保できているので、本来的にはTOBもやる必要がないところ、TOBをわざわざ行い、更にプレミアムも50%前後と少数株主に対して非常に丁寧に対応している案件だと思います。

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