独クナウフ・インターナショナルによるチヨダウーテの完全子会社化(2022/4/25公表)

案件概要

ドイツのクナウフ・インターナショナル・ゲーエムベーハーが石膏ボード専業国内2位のチヨダウーテ(東証スタンダード:5387)をTOBで完全子会社化し、創業家の資産管理会社である平田興産と合弁会社化することを公表。公開買付者は対象者株式を45.28%所有。対象者株主の晴山(9.43%)、平田興産(7.01%)、平田晴久氏(1.94%)、平田一久氏(0.19%)が応募合意(合計18.58%)。ディールサイズは77億円程度。

TOBの概要

TOB価格:1株605円
プレミアム:公表日前営業日の終値に対して16.6%、過去1か月、3か月、6か月終値平均に対してそれぞれ25.8%、41.0%、46.1%
TOB期間:4月26日(火)~6月10日(金)(30営業日)
決済日:6月17日(金)
下限:4,987,001株、上限:なし
TOB代理人:三田証券、マネックス証券(復代理人)

スキーム

当初の資本関係図

公開買付者が対象者株式に対してTOBを実施。晴山、平田興産、平田一久氏、平田晴久氏は応募合意。TOBの下限を超えた場合は、スクイズアウト手続きを実施して、対象者を公開買付者の100%子会社にする。

(出所)公開買付届出書

TOB+SQO後

スクイズアウト完了後、有報提出義務を消滅させ、公開買付者は晴山に対して33.4%の株式を譲渡。その後、晴山は第三者割当増資を行い、買付者と平田興産が晴山の株式を引き受け、晴山に対する出資比率は公開買付者が25.15%、平田興産が74.85%にする。

(出所)公開買付届出書

最終ストラクチャー

(出所)公開買付届出書

算定内容

対象会社側算定(三菱UFJ銀行)

市場株価法:413~515円
類似会社比較法:400~663円(類似会社はニチハ、エーアンドエーマテリアル、神島化学工業の3社で、EV/EBITDAを採用)
DCF法:525~789円
割引率:6.00%~7.00%、継続価値はEV/EBITDAで算出しマルチプルは4.25~5.75倍を採用

案件関係者

買付者側FA:フーリハンローキー
買付者側リーガルアドバイザイー:フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所
対象者側FA:三菱UFJ銀行
対象者側リーガルアドバイザー:TMI総合法律事務所

所見

TOB開始時点で、買付者と応募合意株主合計で約63%の票が見えており、TOBは成立する可能性が高いものと思われます。一方で、株価の推移をみると公表日にかけて株価が上昇しており、情報漏洩していた可能性も疑われるところです。海外企業が日本の会社にTOBをする事例はあまり多くなく珍しい事例といえそうです。フーリハンローキーはGCAをグループ化したばかりで初のTOB案件ですが、TOB代理人は三田証券とマネックスというアクティビストがよく使う業者を利用しています。票読みができているので、とにかく安ければいいという判断基準なのかもしれません。あと晴山は対象者に再出資する形になりますが、TOBに応募せずに継続保有するほうが税務的には有利なような気がしますが、なぜ再出資にしたのかはちょっと時間のある時に考えてみたいと思います。

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