案件概要
ATグループがMBOを公表。ATグループの代表取締役社長である山口真史氏が設立した買収SPCを通じてATグループに対してTOBを行う。買付金額は最大940億円。
TOBの主な条件
TOB価格:1株当たり2,800円
プレミアム:公表日前営業日、過去1か月、3か月、6か月終値平均に対してそれぞれ74.5%、82.4%、97.3%、99.9%
下限:18,395,528株(54.77%)(山口氏とその資産管理会社である名古屋友豊が保有する分と合わせて3分の2の議決権)
上限:なし
TOB期間:2022年2月7日~2022年3月23日(30営業日)
応募合意/不合意:山口氏と名古屋友豊が保有する11.9%については不応募合意
算定内容
対象者側算定(KPMG)
市場株価法:1,401円~1,605円
DDM法:2,512円~3,196円(※ATグループの類似会社対比で、割賦販売による利息収入やリースからの収入等金融収益の比率が高いこと、追加借入を行うことによる効率的な資本活用またその結果としての株主への分配余地に着目して通常のDCFではなくDDMを用いたとのこと)
割引率:9.3%~11.3%、永久成長率:-0.5%~0.5%
バリュエーション水準
TOB価格ベースの各種マルチプルは以下の通り
修正株式価値:94,039M、EV:148,754M
EV/EBITDA(今期):4.8x、PER(今期):12.4x、PBR(直近四半期):0.4x
公正性担保措置の採用状況
- 対象者での算定書の取得
- 対象者での法律事務所からの助言
- 特別委員会の設置
- 利害関係のない役員の全員一致での決議
- TOB期間を30営業日以上確保
- MoMに基づく下限の設定
案件関係者
TOB代理人:三菱UFJモルガンスタンレー証券、auカブコム証券
対象者FA:KPMG
対象者リーガルアドバイザー:西村あさひ法律事務所
LBOローン提供銀行:三菱UFJ銀行
所見
プレミアムは7割超えではあるもののPBR0.38倍、EV/EBITDAで4.8倍って正直低すぎる印象。過去10年でみても2018年1月には3200円とそれでもPBR1倍を大きく下回った水準感。地銀とかと同じでやはり金利環境が低いので収益的には厳しいものがあるという側面もありそう。規模もそれなりに大きいので個人株主は中々ちょっかい出しにくい銘柄ではありますが、どうなるでしょうか。
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