案件概要
国内海運大手3社の一角の川崎汽船が連結子会社(川崎汽船の所有割合は47.82%)で内航・フェリー船事業を主に営む川崎近海汽船を簡易株式交換で完全子会社化すると公表。ディールサイズは75億円程度。
株式交換の主な条件
株式交換比率:川崎近海汽船普通株式1株当たり川崎汽船普通株0.58株の割当比率(一部は自己株式を充当)
プレミアム:公表日の両社終値は川崎汽船が8860円、川崎近海汽船が4305円で、交換比率が0.58のため、公表日終値を基準としたプレミアムは19.4%と過去の株式交換のプレミアム事例対比では著しく低いプレミアムというわけではない水準。
株式交換契約締結日:2022年3月16日
臨時株主総会基準日公告日:2022年3月17日
臨時株主総会基準日:2022年3月31日
株式交換承認株主総会:2022年5月10日(※簡易株式交換に該当するため親会社の川崎汽船では省略し、川崎近海汽船側は6月の定時ではなく臨時株主総会で対応)
最終売買日(川崎近海汽船):2022年5月27日
株式交換効力発生日:2022年6月1日
算定内容
親会社側算定(みずほ証券)
市場株価法:0.49~0.53
類似会社比較法:0.48~0.77
DCF法:0.40~0.74
子会社側算定(KPMG)
市場株価法:0.49~0.53
DCF法:0.50~1.14
割引率:6.7%~8.1%
案件関係者
親会社側FA:みずほ証券
親会社側リーガルアドバイザイー:西村あさひ法律事務所
子会社側FA:KPMG
子会社側リーガルアドバイザー:長嶋大野常松法律事務所
特別委員会のリーガルアドバイザー:中村・角田・松本法律事務所
所見
川崎近海汽船では6月の定時株主総会ではなく臨時株主総会で株式交換の承認決議を経るスケジュールで設定しており、臨時株主総会で定款変更を行い定款に定める基準日を削除するとのこと。これにより2022年3月末基準日の定時株主総会の開催をなくしてしまおうということ。川崎近海汽船に賃貸等不動産に特段大きなものがなく、一般的なプレミアムも付与されていること、第二位以下の株主も保険会社が多く連なり票読みしやすこと、などを踏まえると特段の波乱なく3分の2の特別決議は可決しそうです。
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